『責任と物語』 戸谷洋志
『責任と物語』
戸谷洋志 / 春秋社 / 四六判上製 / 224P
私たちはみな、それぞれの人生という物語を生きている。そのなかで他者と関わり自己を解釈することで、アイデンティティは紡がれ、人格は陶冶されていく。
責任を引き受けるとは、その人格を通して過去を省察し、その姿勢を未来へと向けることである。物語的責任は他者との関係性における許しと約束によって深められ、自己責任論を超えた、互いに支え合う「弱い責任」へと繫がっていく。
目次
はじめに
第一章 伝統的責任概念の構造
責任の分類
強い責任と弱い責任
責任への応答としての自己理解
責任と功績の関係
自己理解の前提としての自発性
自由意志の系譜
帰結の重視
責任概念の時間性
まとめ
第二章 決定論
機械論的自然観
機械としての生命
リベットの実験
遂行論的自己矛盾
自然化された運命論
自由意志の長期的な時間性
まとめ
第三章 二階の欲求説
他行為可能性への批判
脳内を操作されていたとしたら
一階の欲求と二階の欲求
意志の同定
共鳴する自由意志
二階の欲求説の修正
自己統制方針
まとめ
第四章 物語的責任
強い評価と弱い評価
深い動機
自己解釈とアイデンティティ
地平としての物語
物語的な構造化
物語の予測不可能性
物語の事後的必然性
まとめ
第五章 回顧と訂正可能性
意図的行為
意図的行為と回顧
回顧の虚構性
正しさの正しさ
訂正可能性
歴史修正主義とのせめぎ合い
悪の陳腐さ
まとめ
第六章 許しと約束の力
「だれ」の暴露
物語の制御不可能性
訂正可能性の制御不可能性
「許し」の能力
「約束」の能力
活動としての許しと約束
まとめ
第七章 物語の核
物語の二重性
理論負荷性
パラダイム
リサーチ・プログラム
物語の「堅い核」
主人公としての自己
自暴自棄と自己肯定感
まとめ
おわりに