『ダックスフントと女王さま』 メラニア・G・マッツッコ
『ダックスフントと女王さま』
メラニア・G・マッツッコ 著 / 栗原俊秀 訳 / 長野順子 絵
未知谷 / 四六判上製 / 137P
「たくさんのお話」を知っている、「言葉と思索だけ」が財産のプラトーネは、小さな小さな哲学者。女王の生を変えたプラトーネの「お話」。
23ヶ国で翻訳紹介されているイタリアの実力派女流作家、本邦初紹介。
本書の主役であるダックスフントのプラトーネは、この作家の筆がこれまでに生み出してきたさまざまな人物たちと、はっきりした共通点を持っています。それは、「お話」にたいする情熱です。マッツッコの小説にはいつも、物語をこよなく愛する、(やや過剰な)想像力に恵まれた人物が登場します。「物語」を紡ぐ想像力が、現実の生に働きかけ、現実の生を創り変え、そうして「歴史」を編んでいくありようが、彼女の作品には強く深く刻み込まれています。……「たくさんのお話」を知っている、「言葉と思索だけ」が財産のプラトーネは、マッツッコの小説世界に住まうにふさわしい、小さな小さな哲学者です。女王の生を変えたプラトーネの「お話」は、オウムの「わたし」が飛び去ったあとも、甘く、優しく、いつまでもつづいたに違いありません。そして、やがて二匹が犬の神さまのアヌビスを訪ねるころ、ともに過ごした時間は、たくさんの物語の記憶に彩られながら、ひとつの歴史を築いていることでしょう。
(「訳者あとがき」より)