『茸の耳 鯨の耳』 ミシマショウジ
『茸の耳 鯨の耳』
ミシマショウジ / トランジスター・プレス / B6判並製 / 77P
耳は 草に生まれる 白い草に露の ひかりに踊り踏まれた靴と大地に 耳は生まれる 胸に糸玉をもって生まれてきた 百本 千本 一万本の糸だ 夜の夜を twinkle twinkle 胞子を飛ばし菌糸を織って虹の 鯨が空を泳ぐころ 土の下ではおおきな錦の布が広がる
(「夏至 一」より)
究極的には、詩との関係は混沌との関係だと思う。…混沌、それはパンだ、パン生地だ。こねられる、そして、こねる。混沌が歌うのは、舞うのは、悼むのは、われわれだ。その思考に驚き、笑い、救われるような気がし、感動する。
——管啓次郎「混沌のために」より
夏から冬へ。
深い夜の中、野性の音に耳をすませ、世界の傷を夢想する。
パンを焼き、詩を書くビート詩人。待望の第3詩集!
解説=管啓次郎、栞文=ヤリタミサコ、小笠原博毅