『ミャンマー証言詩集 1988-2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』
『ミャンマー証言詩集 1988-2021 いくら新芽を摘んでも春は止まらない』
コウコウテッ 他著 / 四元康祐 編訳
港の人 / A5判変型並製 / 224P
ミャンマー軍事政権下での詩と散文!
詩人たちは怒りと哀しみ、異議申し立てを訴える。文字に記された言葉は力強く、ミャンマーの詩人たちの魂は燃え続けている。
ミャンマーを代表するコウコウテッ、ケーザウィン、エーポーカインほか32名の詩人の詩28篇とエッセイ12篇を収録。
翻訳は四元康祐、三宅勇介、大崎清夏、吉川 凪、ぱくきょんみ、柏木麻里が担当した。本書の誕生の経緯について編訳者の詩人・四元康祐が丁寧に語り、ミャンマーの社会情勢やビルマ文学についてはビルマ文学研究者・南田みどりが詳細に解説。
装画・地図作成 moineau
■著者
コウコウテッ(Ko Ko Thett)
ミャンマー出身の詩人。ミャンマー詩の英訳を広く手掛けるとともに、詩誌メコンリビューの編集者。ヤンゴン工科大学在籍中の1990年代、非合法地下出版に詩を発表。1996年の学生運動に参加したことにより拘留されたのち、翌年ミャンマーを出国。以降現在にいたるまで亡命生活が続く。ミャンマー現代詩の英訳アンソロジーで英国ペンクラブの翻訳賞受賞。最新作にBamboophobia(竹恐怖症、2022年)。イギリス在住。
■編訳者
四元康祐(よつもと・やすひろ)
詩人・作家。1959年生まれ。詩集に『世界中年会議』(第3回山本健吉文学賞、第5回駿河梅花文学賞)、『噤みの午後』(第11回萩原朔太郎賞)、『日本語の虜囚』(第4回鮎川信夫賞)ほか。詩文集に『龍に呑まれる、龍を呑む──詩人のヨーロッパ体験』、文芸批評書に『谷川俊太郎学』『詩人たちよ!』。翻訳書に『ホモサピエンス詩集』など。
■目次
はじめに 四元康祐
Ⅰ 2021
頭蓋骨 ケーザウィン 四元康祐
詩人 ケーザウィン(エッセイ) オンマーミン 三宅勇介
革命的家族 モウウースエーニェイン 三宅勇介
残余の生 ミチャンウェー 四元康祐
いくら新芽を摘んでも春は止まらない(エッセイ) マ・ティーダー 大崎清夏
ダルマ(仏法)のもとに 抄(エッセイ) ニープレー 四元康祐
高潔なる者より(エッセイ) ドクター・ミンゾー 三宅勇介
春 ガバ 大崎清夏
シスター・ヌータウン―日々の愛から生まれた、とてつもない勇気(エッセイ) インクンル 吉川凪
マイ・ストーリー(エッセイ) ニンジャーコーン 三宅勇介
覚めることのできない悪夢(エッセイ) ナンダー 三宅勇介
殉死した息子よ エーポーカイン ぱくきょんみ
穴 ミンサンウェー 四元康祐
兄の顔写真が国営放送のテレビに映し出された日 プラグX 四元康祐
奴らが父を捕らえに来た サライン・リンピ(ミンダッ) 三宅勇介
軽い口調で コウ・インワ 三宅勇介
春と狂犬ども モウヌエー 三宅勇介
遺書(エッセイ) ティーハティントゥン 吉川凪
誰の足音がいちばん大きいのか(エッセイ) トーダーエーレ 吉川凪
輸出入法さまを褒めたたえる歌 ダリル・リム 三宅勇介
百日 ニンカーモウ 三宅勇介
中断された会話 チョーズワー 四元康祐
母に―四幕からなる一つの人生 コウコウテッ 四元康祐
おいしい! 自宅で簡単デモクラシーの調理法 コウコウテッ 四元康祐
Ⅱ 2020-1988
なんてこったい! ケッティー 三宅勇介
ヤンゴン大峡谷 ケッティー 四元康祐
ケッティー―ビロードの手袋をはめた鉄の拳(エッセイ) サンニェインウー 吉川凪
獄中からの手紙 ケーザウィン 四元康祐
わが悲しきキャプテンたち―ケーザウィンとケッティー(エッセイ) コウコウテッ 吉川凪
詩人パインティッヌエー モウチョートゥー 吉川凪
リンモウスエー(1976-2017)を偲んで(エッセイ) コウコウテッ 四元康祐
平和を測る水量計 リンモウスエー 四元康祐
エレベーター ハンリン 三宅勇介
弟よ、これが1988年の真実だ マウン・ユパイン 四元康祐
お絵描き ミンコウナイン 柏木麻里
落ちた星たちの花婿 ターヤー・ミンウェー(1966-2007)に捧ぐ ミンコウナイン 吉川凪
枯れることは咲くこと マウン・チョーヌエー 吉川凪
大いなる氷の大地の下に マウン・ユパイン 柏木麻里
夜間外出禁止令 コウコウテッ 四元康祐
匿名の覚醒者たちの集会 コウコウテッ 四元康祐
詩人紹介
彼らはどこからやって来たのか――『ミャンマー証言詩集』に寄せて 南田みどり
翻訳者あとがき 三宅勇介・大崎清夏・吉川凪・ぱくきょんみ・柏木麻里
編訳者あとがき 四元康祐