『ロシア文学の怪物たち』 松下隆志
『ロシア文学の怪物たち』
松下隆志 / 書肆侃侃房 / 四六判並製 / 200P
虚無的な現実を覆う皮膜の下で蠢く怪物たちの饗宴。間違いない、本書は毒にも劇薬にもなりうる。
━━━━━木澤佐登志
ロシア文学は現実の不確かさを読者に突きつけ、世界の裂け目に開いた深淵を露わにする。
『青い脂』(ソローキン)や『穴持たずども』(マムレーエフ)など“怪作”を翻訳してきた著者による「悪」のロシア文学入門。
誤解を恐れずに言うが、ロシア文学は危険だ。
ロシアによるウクライナ侵攻によって現実に世界秩序が大きく揺れ動いている今日、それは劇薬ですらあるかもしれない。
(「はじめに」より)
【目次】
はじめに
プロローグ 悪との遭遇
第1章 ペテルブルグの幽霊 ゴーゴリ『外套』
第2章 怠惰と実存 ゴンチャロフ『オブローモフ』
第3章 病める地下室男の独白 ドストエフスキー『地下室の手記』
第4章 もはや死はない トルストイ『イワン・イリイチの死』
第5章 世界がひずむ音 チェーホフ『六号室』
第6章 「われら」と「彼ら」のはざまで ザミャーチン『われら』
第7章 不可能性の怪物 マムレーエフ『穴持たずども』
第8章 空虚への解脱 ソローキン『マリーナの三十番目の恋』
第9章 もう一つの九〇年代 ペレーヴィン『ジェネレーション〈P〉』
第10章 回帰する亡霊 エリザーロフ『図書館大戦争』
第11章 可能性としての女性文学 ナールビコワ『ざわめきのささやき』/トルスタヤ『クィシ』/スタロビネツ『むずかしい年ごろ』
おわりに
あとがき
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