『セツローさんの随筆』 小野節郎
『セツローさんの随筆』
小野節郎 / 信陽堂 / B6変形判上製 / 176P
長くレントゲン技師を務めるかたわら、自らの美意識に導かれるままに描かれた野の草花の水彩スケッチ、木から削り出した匙やかんざし、手びねりの土人形など、人柄がにじむ素朴な作品で「セツローさん」の愛称で親しまれた小野節郎さんは、すぐれた書き手でもあった。本書には生前に残した私家版の随筆集2冊から19篇を収録、滋味深く時にユーモラスな語り口で描かれる昔日の光景、家族のこと、日々のできごと。スケッチや造形作品も合わせて収録しました。巻末には子息である陶芸家の小野哲平氏がエッセイを寄稿。
目次
今治駅のシグナル
月夜茸はうまかった
僕の車は菊の紋がついている
饅頭は害虫
味噌なめ地蔵
鯰
鮒めし
真紅の石
空を飛んだ!
引っ越し
澄子叔母
縁
機雷
水葬
「これは団子です」
鮎
漆
三人の叔父と祖父
倉
版元から一言
山野草の水彩画、木から削り出された素朴なかんざしや匙、てのひらから生みだされる小さな土のいきものたち……人柄がにじむ作品で数多くのファンを持ち、「セツローさん」の愛称で親しまれた著者は、頰をよそ風に撫でるような印象を残す愛らしい随筆の書き手でもありました。本書は生前著者が残したコピー印刷の2冊の私家版随筆集から19篇を収録。ご子息は陶芸家の小野哲平氏であり、多くの著書を持つ布作家・早川ユミさんの義父にあたる方です。