『死のやわらかい』 鳥さんの瞼
『死のやわらかい』
鳥さんの瞼 / 点滅社 / 四六変形判上製 / 96P
「死」を誰よりも愛し、向き合い、見つめ続ける歌人の第一歌集。
【収録歌より】
巻き貝のなかを明るくするように母は美大はむりよと言った
会うことのなかった四羽の心臓が一つに刺されて完成している
死ぬことが悲しいだけでなかったこと 落ちて初めて燃ゆ流れ星
【栞(小冊子16p)】
林あまり『若草の香り』
岡本真帆『「むりよ」が連れてきた明るさ』
東直子『命に旗を立てる』
【装丁】名久井直子
「……心をつくして死と向かい合い、命をかみしめ、生きていることを味わう。いつか必ずやってくる死をゆっくり受け入れるための心の器としての歌なのだろう。」
東直子(栞文より)
目次
鳥
棺
速度たち
虹
心の理論
貝殻
乱暴さについて
優しさについて
遅れる
行き先はたいてい二つ
し
電子レンジ
皮膚
提供
容易にエンジェル
食べものは
大丈夫
流れ星
やばピ
もう来ない友人
ケージ
安らぎがあってほしい
てのひら
メランコリア
少し暖かい曇りの日
夜のぬるい
いつか
憶えていないものたち
版元から一言
「死」にどうしても惹かれてしまう人に読んでほしい歌集です。
徹底的に「死」を見つめ続けることで生まれた歌たちは、一見ネガティブですが、不思議な爽快感とほのかな明るさがあります。絶望とわずかな希望が混じりあった、待望の第一歌集です。