『新版 慶州は母の呼び声 わが原郷』 森崎和江
『新版 慶州は母の呼び声 わが原郷』
森崎和江 / 筑摩書房 / 文庫判並製 / 272P
わたしが愛した「やさしい故郷」は
日本が奪った国だった。
1927 年、植民地朝鮮に生まれた少女――
『まっくら』『からゆきさん』の著者が綴る17 年間の自伝エッセイ
人間の業を映す独自の作家活動を続けた森崎和江は、日本統治下の朝鮮に生まれた。大邱、慶州、金泉、現地で教師を務める父、温かな母と弟妹、そして「オモニ」たち──歴史的背景を理解せぬまま己を育む山河と町をただひたすら愛した日々に、やがて戦争の影がさす。人びとの傷と痛みを知らずにいた幼い自身を省みながら、忘れてはならぬ時代の記憶を切に綴る傑作自伝。
解説 松井理恵