『貝に続く場所にて』 石沢麻依
『貝に続く場所にて』
石沢麻依 / 講談社 / 文庫判並製 / 240P
あの日行方不明となった彼が、ドイツの私の元を訪れる。
忘却に抗う言語芸術にして、鮮烈なるデビュー小説。
ドイツの学術都市ゲッティンゲンに暮らす私の元に、東日本大震災で行方不明になった彼が現れる。陽に透けないほどの存在感を持つその訪問者に私は安堵するが、死者との邂逅はその街と人の様相を重層的な記憶を掘り起こすように変容させてゆく。
群像新人文学賞と芥川賞をダブル受賞した著者のデビュー作。