『あなたの燃える左手で』 朝比奈秋
『あなたの燃える左手で』
朝比奈秋 / 河出書房新社 / 四六判上製 / 208P
ハンガリーの病院で左手の移植手術を受けたアサト。
だが麻酔から覚めると、見知らぬ他人の手が移植されていた。
自らの身体を、そして国を奪われることの意味を問う、傑作中篇.
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ウクライナもロシアも、このハンガリーも、
いや、すべての国が島国だったなら。
海にぽつぽつと浮かんで、
世界のどこにも国境がなかったなら……。
もしそうならば、しかし、
こんなにもハンナに惹かれただろうか。
どの国のどの人間のどの言葉よりも、
胸の中心に響いてきたのは彼女の「ニー」だった。
(本文より)