『アイリス』 雛倉さりえ
『アイリス』
雛倉さりえ / 東京創元社 / 四六判 / 272P
ひとつの映画が変えた、俳優と監督の未来。
人生の絶頂の、そのむこうの物語。
子役として映画『アイリス』に出演し、脚光を浴びた瞳介は、その後役者として成功できずに高校卒業前に芸能界をやめた。だが、映画で妹役を演じ、現在は女優として活躍する浮遊子との関係は絶てずにいる。『アイリス』の栄光が、彼を過去へと縛りつけていた。そしてそれは、監督の漆谷も同じだった。28歳で撮った『アイリス』は数々の賞を受賞したが、彼自身はどれだけ評価を得ても、デビュー作を超えられないという葛藤を抱えていた。ひとつの映画が変えた俳優と監督の未来。人生の絶頂の、その先の物語。