『我が手の太陽』 石田夏穂
『我が手の太陽』
石田夏穂 / 講談社 / 四六判変形上製 / 144P
鉄鋼を溶かす高温の火を扱う溶接作業はどの工事現場でも花形的存在。その中でも腕利きの伊東は自他ともに認める熟達した溶接工だ。そんな伊東が突然、スランプに陥った。日に日に失われる職能と自負。野球などプロスポーツ選手が陥るのと同じ、失った自信は訓練や練習では取り戻すことはできない。現場仕事をこなしたい、そんな思いに駆られ、伊東は……。
“「人の上に立つ」ことにまるで関心がった。自分の手を実際に動かさないのなら、それは仕事ではなかった。”
腕利きの溶接工が陥った突然のスランプ。
いま文学界が最も注目する才能が放つ異色の職人小説。