『広告』Vol.417 特集:文化
『広告』Vol.417 特集:文化
博報堂 / 文庫判並製 / 1100P
※表紙はランダムでお送りしておりますので、選んでいただくことはできません。
(表紙は1冊1冊色味が異なる「赤」のグラデーションがシルクスクリーンで刷られています。)
<概要>
ものをつくることと文化は密接に結びついている── 。
「文化」とは、学問や芸術、宗教など、人間の精神的活動によって生み出される有形無形の“産物"を指します。哲学や文学、建築や音楽などもその例です。一方で、それらが生まれ、育まれる“土壌”でもある、特定の地域や時代、分野における固有の慣習や様式も「文化」と呼びます。ものをつくることは、様々な文化(土壌)の影響下で、新たな文化(産物)を生み出すことです。また、その文化(産物)は、関連する文化(土壌)に還元されるという循環構造があります──。文化人類学で定義される、人間の営みの総体としての文化。技術や制度、社会基盤といった文明的なものによってもたらされる文化。そして、文明が孕む過度な合理主義や進歩主義への対抗概念としての文化──。今号では、「文化」にまつわる様々な観念や事象に向き合い、雑誌『広告』の全体テーマである「いいものをつくる、とは何か?」を思索するための視点を集めていきます。
リニューアル以降、「価値」「著作」「流通」「虚実」というテーマを特集してきた雑誌『広告』最新号は「文化」特集。現体制での刊行は今号で一旦終了するそうです。
表紙は、1冊1冊色味が異なる「赤」のグラデーションがシルクスクリーンで刷られています。
<目次>
108 文化とculture
社会学者 吉見俊哉 × 『広告』編集長 小野直紀
文:山本 ぽてと
109 ドイツにおける「文化(Kultur)」概念の成立とその変質
文:小野 清美
110 文化と文明のあいだ
文:緒方 壽人
111 まじめな遊び、ふざけた遊び
文:松永 伸司
112 建築畑を耕す
文:大野 友資
113 断片化の時代の文学
構成・文:勝田 悠紀
114 現代における「教養」の危機と行方
哲学者 千葉雅也 × 『ファスト教養』著者 レジー
文:レジー
115 ポップミュージックにおける「交配と捕食のサイクル」
文:照沼 健太
116 カルチャー誌の過去と現在
文:ばるぼら
117 「文化のインフラ」としてのミニシアターが向かう先
構成・文:黒柳 勝喜
118 激動する社会とマンガ表現
文:嘉島 唯/編集協力:村山 佳奈女
119 中国コンテンツをとりまく規制と創造の現場
文:峰岸 宏行
120 SNS以降のサブカルチャーと政治
文:TVOD
121 開かれた時代の「閉じた文化の意義」
哲学者 東浩紀 インタビュー
聞き手・文:須賀原 みち
122 文化を育む「よい観客」とは
文:猪谷 誠一
123 同人女の生態と特質
漫画家 真田つづる インタビュー
聞き手・文:山本 友理
124 ジャニーズは、いかに大衆文化たりうるのか
社会学者 田島悠来 × 批評家 矢野利裕
構成・文:鈴木 絵美里
125 ディズニーの歴史から考える「ビジネス」と「クリエイティビティ」
文:西田 宗千佳
126 ラグジュアリーブランドの「文化戦略」のいま
文:中野 香織
127 成金と文化支援
日本文化を支えてきた「清貧の思想」
文:山内 宏泰
128 経済立国シンガポールの文化事情
文:うにうに
129 流行の歴史とその功罪
文:高島 知子
130 広告業界はなぜカタカナが好きなのか
「いいもの」は未知との遭遇から生まれる
文:河尻 亨一
131 クリエイティブマインドを惹きつけるアップル文化の核心
文:林 信行
132 未知なる知を生み出す「反集中」
文:西村 勇哉
133 「ことば」が「文化」になるとき
言語学者 金田一秀穂 × 『広辞苑』編集者 平木靖成
聞き手・文:小笠原 健
134 風景から感じる色と文化
文:三木 学
135 「共時間(コンテンポラリー)」とコモンズ
ミュージアムの脱植民地化運動とユニバーサリズムの暴力
文:小森 真樹
136 京都の文化的権威は、いかに創られたか
構成・文:杉本 恭子
137 生きた地域文化の継承とは
3つの現場から見えたもの
構成・文:甲斐 かおり
138 ふつうの暮らしと、確かにそこにある私の違和感
文:塩谷 舞
139 過渡期にあるプラスチックと生活
なぜ、紙ストローは嫌われるのか?
構成・文:神吉 弘邦
140 文化的な道具としての法の可能性
文:水野 祐
141 「日本の文化度は低いのか?」に答えるために
構成・文:清水 康介
142 イメージは考える
文化の自己目的性について
文:中島 智