『第一藝文社をさがして』 早田リツ子
『第一藝文社をさがして』
早田リツ子 / 夏葉社 / 四六判上製 / 312P
女性史にかんする著作をもつ著者による、出版社の稀有な評伝です。
第一藝文社とは戦前に伊丹万作、今村太平らの映画にかんする書物を刊行し、杉山平一の『夜學生』などの詩集を刊行した、関西の出版社。
出版社として活動した時期は約10年と短く、これまでその実態は謎につつまれていました。
著者は一通のメールから、地元の滋賀に存在した第一藝文社に興味をもち、社主の中塚道祐の遺族のもとをたずねます。
そこで手にすることのできた中塚の私家本、図書館と古書店を通して触れた刊行物をとおして、第一藝文社というひとりの編集者によって営まれた出版社の理念と運命をあきらかにしていきます。