『動物奇譚集』 ディーノ・ブッツァーティ
『動物奇譚集』
ディーノ・ブッツァーティ 著 / 長野徹 訳
東宣出版 / 四六判並製 / 283P
ブッツァーティ没後50年、追悼出版第一弾――幻想文学の巨匠が残した魅惑の動物譚
ブッツァーティの動物譚が開く地平、
それは人間中心主義の解体、
人間本位の物の観方の脱中心化である。
――「訳者あとがき」より
ソ連の畜産学研究所で行われた戦慄の実験を語る「アスカニア・ノヴァの実験」、一匹のネズミに手玉に取られる企業をコミカルに描く「恐るべきルチエッタ」、釣り上げられた奇妙な魚をめぐる怪談「海の魔女」、飼い主とペットの立場が入れ替わったあべこべの世界を舞台に、動物であることの体感をユーモラスに語る「警官の夢」、自然界の逆襲をアイロニカルに表現した「蠅」など、デビュー当時から最晩年に至るまでに書かれた〈動物〉が登場する物語を集め、ブッツァーティの作品世界の重要な側面に光をあてたアンソロジー。