『傷を愛せるか 増補新版』 宮地尚子
『傷を愛せるか 増補新版』
宮地尚子 / 筑摩書房 / 文庫判 / 240P
どれほど医療が進んでも、傷ついた心を癒す薬はない。
悲痛に満ちた被害者の回復には何が必要か。
たとえ癒しがたい哀しみを抱えていても、傷がそこにあることを認め、受け入れ、傷の周りをそっとなぞること。過去の傷から逃れられないとしても、好奇の目からは隠し、それでも恥じずに、傷とともにその後を生きつづけること──。バリ島の寺院で、ブエノスアイレスの郊外で、冬の金沢で。旅のなかで思索をめぐらせた、トラウマ研究の第一人者による深く沁みとおるエッセイ。