『プルースト 読書の喜び ─私の好きな名場面』 保苅瑞穂
『プルースト 読書の喜び ─私の好きな名場面』
保苅瑞穂 / 筑摩書房 / 文庫判 / 400P
よく知られた〈紅茶とマドレーヌ〉やヴァントゥイユの小楽節との再会、海辺の乙女たち、祖母の死ー。
『失われた時を求めて』から著者が鍾愛してやまない場面を読み解き、この大作へ読者をいざなう。
なぜプルーストはかくも多くの人を魅了するのか。人間を見る際の認識が精細を極めていることはもとより、知覚対象がもつ生命の再創造を小説の言葉によって成し遂げたこと、それが読む者に精神の躍動、つまりは幸福感をもたらすからである。
読書の愉楽をあますところなく伝える珠玉のエセー。
解説 野崎歓