『ひこうき雲』 キム・エラン
『ひこうき雲』
キム・エラン 著 / 古川綾子 訳
亜紀書房 / 四六判上製 / 320P
タクシー運転手のヨンデは、車内で、中国語のテープを聴いている。
数ヶ国語を話せた、死んだ妻が吹き込んでくれたものだ。
何をしても長続きせず、「家族の恥」と周囲に疎まれ、三十六歳で逃げるように上京した彼は、中国の地方から出稼ぎに来ていた親切な女ミンファと出会い、結婚し、貧しいながらも肩を寄せ合うように暮らしていた。
だが、やがて彼女はがんを患って……(「かの地に夜、ここに歌」)。
裏切り。罪。喪失。悲しみ。
韓国文学の騎手が贈る、哀切な8つの物語。