『カルチャーセンター』 松波太郎
『カルチャーセンター』
松波太郎 / 書肆侃侃房 / 四六変型判上製 / 272P
松波太郎はそこにいた。
カルチャーセンターで共に過ごしたニシハラくんの未発表小説『万華鏡』が収録され、作家や編集者たちから寄せられたコメントに、松波太郎の説明責任までもが生じてくる文章と空白の連なり……松波太郎は、ニシハラくんに語りかける。「どうかな? これは何だろう? 小説なのかな?」
松浦理英子さん推薦!
「小説を書きたいという欲望に憑かれていた若くほろ苦い日々を、哀惜をこめて振り返る松波太郎は本物の作家である」
これはすべての作家が通って来た文学的青春への鎮魂の書である。小説とは何かも言えないまま、ただ書きたいという欲望に憑かれていた時代への。
――松浦理英子
小説のわからなさを、そのわからなさと共に生きていくことを、ひたすらに書いている。この小説を読み終わりたくないと思った。
――柴崎友香
カルチャーセンターは、社会で帰属する場を離れて〈個〉となった人と人が、遠い憧憬を胸に秘めて集う。それが稀に奇跡のように幸福な交流を、この地上にもたらす。
松波さんはその鎮魂と再興のために、この小説を、みんなの力を借りて作り上げた。
(この推薦文わかりにくいですか? 読むうちにほぐれて、あなたを照らす光になるはずです。)
――保坂和志