『どうぶつの修復』 藤原安紀子
『どうぶつの修復』
藤原安紀子 / 港の人 / A5判変型コデックス装 / 144P
2013年現代詩花椿賞に輝いた第3詩集『アナザミミクリ』から、6年という歳月をかけて修練し実らせた渾身の傑作「詩人の神話」、8篇の書き下し作品。
からだの深い深い層、芯に記憶している〈詩〉を、うちから囁きかける声のかすかな響き、言葉の震えをさぐりながらようやく書き留める「詩人の神話」、あるいは「再生への祈り」。
詩集の水面ぎりぎりにたたえられている悲しみは一瞬堰をきって、この不毛な世界へ溢れ出して来るだろう。
カバー写真は、志賀理江子写真集『カナリア』より「白山」。
第35回詩歌文学館賞[詩部門]受賞
■収録作品より
「よばれびと〈動物〉」
一生のうちいくつのふくろうを
固定しないかたちで
やったのだろう
それでも一点は自力でさして
ふみこたえる
自生する生きものたち
そこに名をふきこむな
みのたけもきごころも永遠にみたない
反復する わたしたちは
■目次
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動物の修復
じかん 〈庭園〉
あみうた 〈泉〉
デラソーワ 〈家〉
森 〈再生〉
ἐντολαί
キュポス 〈星〉
ἑταῖροι
よばれびと〈動物〉