『改良』 遠野遥
『改良』
遠野遥 / 河出書房新社 / 文庫判 / 136P
女になりたいのではない、「私」でありたい
ゆるやかな絶望を生きる男が唯一求めたのは、
美しくなることだった
メイクやコーディネイト、女性らしい仕草の研究……。
美しくなるために日々努力する大学生の私は、コールセンターのバイトで稼いだ金を、美容とデリヘルに費やしていた。
やがて私は他人に自分の女装した姿を見て欲しいと思うようになる。
美しさを他人に認められたい――唯一抱いたその望みが、性をめぐる理不尽な暴力とともに、絶望の頂へと私を導いてゆく。