『あの日の海』 染野太朗
現代短歌クラシックス09
『あの日の海』
染野太朗 / 書肆侃侃房 / 四六判変形並製 / 168P
【収録歌より】
カーテンに春のひかりの添う朝(あした)はじめて見たり君の歯みがき
含み笑いをしながら視線逸らしたる生徒をぼくの若さは叱る
さびしさを押しつけたから君はもう静かな海をぼくに見せない
掌(て)の中に燃ゆるさびしさ 点さんと花火さがせどさがせども闇
生徒らの脳に蛍があふれいて進学試験の教室ぬくし
パキシルに統べられぼくの脳(なずき)にもセロトニン舞うゆあーんゆよーん