『小鳥たち マトゥーテ短篇選』 アナ・マリア・マトゥーテ
はじめて出逢う世界のおはなし 1957−1967
『小鳥たち マトゥーテ短篇選』
アナ・マリア・マトゥーテ 著 / 宇野和美 訳
東宣出版 / 四六判変型並製 / 261P
新しく村に赴任してきた若き医師ロレンソは、ある事情から、気がふれていると言われる女の家に一晩泊まることになってしまう。清潔で手入れが行き届いた部屋、美味しい食事とワイン、町で靴屋見習いをしているという一人息子の話を聞くうちに、彼は大地のようなあたたかさに心満たされ始めるが……「幸福」、過ぎ去りしある夏の淡くおさない初恋を詩情豊かに綴った「隣の少年」、人生に疲れ絶望を感じる寡婦の身に起こる摩訶不思議な出来事「噓つき」、心躍らせながら行ったお祭りで娘を襲う悲劇「アンティオキアの聖母」など、リリカルで詩的なリアリズムに空想と幻想が美しく混じりあう21篇を収録。
二十世紀スペインを代表する女性作家アナ・マリア・マトゥーテ本邦初の短篇集。