『冥王星より遠いところ』 黄崇凱
現代台湾文学選2
『冥王星より遠いところ 比冥王星更遠的地方』
黄崇凱 著 / 明田川聡士 訳
書肆侃侃房 / 四六判上製 / 224P
病院で母を介護する青年と、妻や娘と暮らす小説家志望の高校教師。青年の夢に出てくる男の姿は高校教師である「俺」の日常とまったく同じで、高校教師が小説で描き出す青年は現実の「俺」と少しも変わらない。二人の「俺」は現実の日常や夢のなか、小説のなかで、母の病室と実家とを行き来し、ネルーダの少女とデートする……。この現実は夢なのか、虚構なのか。今では最愛の母は遠く離れ、太陽系から外された冥王星よりもさらに遠いところをさまよっている。
文学キャンプ出身の「七年級」作家・黄崇凱、日本で初めての単行本。台湾における尊厳死問題を示唆した長編デビュー作。