韓国文学の源流 短編選 2 1932-1938 『オリオンと林檎 』
韓国文学の源流 短編選 2 1932-1938
『オリオンと林檎 』
朴花城,李孝石,金裕貞,李箕永,朴栄濬,朴泰遠,玄徳,李泰俊 著
小西直子,李聖和,岡裕美,姜芳華 訳
書肆侃侃房 / 四六判上製 / 272P
朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できる10巻です。現代韓国文学に親しみ始めた読者が、遡って古い時代の文学も読めるようにしたいと考えています。
短編10巻、各巻は6~10編の各時代の主要作品を網羅します。
各巻には小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、簡単な文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。
日本植民地時代の1930年代韓国は、プロレタリア文学とモダニズム文学との相克の時代。揺れ動く時代を背景に、若い男女の交友関係を軸に、社会運動にのめり込んでゆかざるを得ない暗い時代が描かれる。実りのない恋愛を通して強く自立した生き方を模索する愛と葛藤の日々が、読むものの心に深く響いてくる。
下水道工事を巡り、日本人請負業者の賃金未払に怒りを爆発させる労働者たちの抵抗運動「下水道工事」。百貨店に勤める日本人女性ナオミと読書サークル仲間の恋の駆け引き「オリオンと林檎」。山間の村。ふとしたきっかけで住み込みで働くことになった若い女への期待と裏切り「山あいの旅人」。貧困から抜け出せない農民たちが賭博によって 仲間のわずかな財産を奪い合う「鼠火」。旱魃に苦しむ小作農と利己的な村の自作農との軋轢を描く「模範耕作生」。芳蘭荘という赤字続きのカフェを営む画家の満たされぬ日々「芳蘭荘の主」。体を壊して働けなくなった父と港でいかがわしい酒売りの仕事で稼ぐ母を持つ少年の成長期「草亀」。平壌を訪れた作家が目にした廃れゆく文化と哀しい人間模様を描く「浿江冷」。