『心経』 閻連科
『心経』
閻連科 著 / 飯塚容 訳
河出書房新社 / 四六判上製 / 360P
北京で最も有名な大学が創設した宗教研修センターでは、とろけそうな酷暑の中、仏教、道教、プロテスタント、カトリック、イスラム教の信徒たちが、綱引きの熱戦を繰り広げている。
高僧の代わりに講義を受ける18歳の玉尼・雅慧は、崇高への憧れを抱きつつ、神と神、人と人、神と人との葛藤に巻きこまれていく。
若々しく聡明で機転の利く道士・顧明正、人格者として尊敬を集める牧師・王昌平、宗教研修センターを司る貢主任、謎の老人・無名氏……。
生前の功績に応じて墓所すら階層化はれた現代中国で、人は神を見つけることができるのか。
切り絵とともに語られる菩薩と老子の物語が美しく、光と闇が交差する宗教小説。
ノーベル賞候補と目される発禁作家の新境地。