『大いなる夢よ、光よ』 津島佑子
『大いなる夢よ、光よ』
津島佑子 著 / 堀江敏幸 解説
人文書院 / 四六判 / 384P
息子を見失ったその人は、それでも夢をたゆたい記憶を辿りながら、共に過ごした時間のあの喜びを見届けてくれる存在を求めつづけた。囚われなき情愛を通じて、人生を再び歩み始めるまでの道程を描く傑作。
自分の記憶が他者の記憶に入り交じり、結果として、もっと大きな自分を育てる力になる。
「タマシイ」の真の浮遊を保つために必要なのは、光をも飲み込む言葉の重力だ。
『大いなる夢よ、光よ』には、その重力の働く一点が、確実に示されている。
―堀江敏幸 「「タマシイ」の音符」より