『五感巡礼 大竹昭子短文集』
『五感巡礼 大竹昭子短文集』
大竹昭子 / カタリココ文庫 / 文庫版並製 / 95P
ひとつのエピソードが思わぬ方向に発展し、五感を巡礼していく、五つの随想が収められています。
自分は「犬派」だと思っていたが、本質は「猫」かもしれないと気づいた「放浪の効用」、一度聴力を失った女性が体内の音に耳を澄ませて鼓膜を再生させたエピソードが心に残る「聞こえてくるあの音は?」、シマの概念をできる限り拡大して考えを巡らす「シマの境界」、植物の種のように拡散することばの生命力を讃えた「ことばの飛び地」、写真との出会いが自意識の殻を脱ぎ捨てる作用を及ぼした「『わたし』のなかのたくさんの『他人』」。
それぞれのエピソードに潜むエキスを抽出しながら、思索の輪を広げていく一冊。