『世界が海におおわれるまで』 佐藤弓生
現代短歌クラシックス04
『世界が海におおわれるまで』
佐藤弓生 / 書肆侃侃房 / 四六判変形並製 / 112P
【歌集より】
秋の日のミルクスタンドに空瓶のひかりを立てて父みな帰る
とうめいなかかとのかたち天空も公孫樹の黄(きい)を踏んでみたくて
風鈴を鳴らしつづける風鈴屋世界が海におおわれるまで
白の椅子プールサイドに残されて真冬すがしい骨となりゆく
革装の書物のように犀は来て「人間らしくいなさい」と言う
「夢といううつつがある」と梟の声する ほるへ るいす ぼるへす