『ボタニスト パリの標本館を築いた植物学者たち 』 マルク・ジャンソン
ヴィンケルハーケン叢書 1
『ボタニスト パリの標本館を築いた植物学者たち 』
マルク・ジャンソン 著 /シャルロット・フォーヴ 編 / 佐々木ゆか 訳 / 中原毅志 監訳 / 菅原敬 植物監修
TypeShop_g Press / B6変型判 縦167mm 横127mm / 256P
著者マルク・ジャンソンは、パリ国立自然史博物館の標本館を率いる少壮の植物学者。350年の歴史を有するこの標本館は世界最大級の規模を誇り、800万点におよぶ植物標本を収蔵する。この植物研究の殿堂に自らの半生を重ねあわせつつ、先人たちの業績と近代植物学の歴史をたどるエッセー集。17世紀フランスで植物学の父と呼ばれたトゥルヌフォールに始まり、18世紀中葉、革新的な分類体系を提唱しながら不遇の人生を送ったアダンソン、その名前がフランス語の胡椒の語源にまでなったポワーヴル、植物にも繁殖目的の性別があることを大っぴらにしてスキャンダルを巻き起こしたヴァイヤン、さらには北極星の騎士リンネ、自然史上もっとも不運な科学者の一人といわれるラマルク、そして「植物の壁」で日本でもよく知られる現代のパトリック・ブランまで――有名無名のボタニストたちの事績をユーモアあふれる筆致で綴る。通底するのは、植物への限りない愛情と、「土と雲そして泥を愛する放浪者」ボタニストたちへの畏敬の念である。