韓国文学の源流 短編選3 1939-1945 『失花』
韓国文学の源流 短編選3 1939-1945
『失花』
李箱、李孝石、蔡萬植、金南天、李無影、池河蓮 著
オ・ファスン、岡裕美、カン・バンファ 訳
書肆侃侃房 / 四六判上製 / 352P
2019年6月にスタートした韓国文学の源流シリーズは今回、短編選をスタートします。朝鮮文学時代から今の韓国現代文学に続く、古典的作品から現代まで、その時代を代表する短編の名作をセレクトし、韓国文学の源流を俯瞰できる全10 巻です。韓国文学に親しみ始めた読者が、遡って古い時代の文学も読めるようにしたいと考えています。各巻は6 ~ 10 編の各時代の主要作品を網羅し、小説が書かれた時代がわかるような解説とその時代の地図、文学史年表が入ります。よりいっそう、韓国文学に親しんでいただければ幸いです。
日本統治時代、戦争の影が色濃くなる中、
荒れ狂う時代の波に翻弄される主人公たちの
恋愛、家族、そして職場での人間模様……。
当時を代表する作家たちが綴る名作六編。
モダニズム作家、李箱の遺稿で、死後に発表された「失花」。
妻の死後、中国を旅し、華やかな都会の中の孤独をアイロニーをこめて描いた「ハルビン」。
日本にいられなくなり新しい生活を求めてやってきた澄子と、雑誌社に勤めながら小説を書く作家との愛の逃避行「冷凍魚」。
思想犯として投獄された男に本を差し入れ、一時釈放を待つ女を待ち受ける厳しい現実を描いた「経営」。
変わりゆく農村を舞台に土とだけ向き合って生き、すべてを失ったあと自らの命を絶つ父。帰郷し田んぼに出てはじめて父の思想にめざめる「土の奴隷」。
妻とその女友だちとの交流を通して男と女の不可解な感情とすれ違いを描いた「秋」。