『ブラック・トムのバラード』 ヴィクター・ラヴァル
はじめて出逢う世界のおはなし アメリカ編
『ブラック・トムのバラード』
ヴィクター・ラヴァル 著 / 藤井光 訳
東宣出版 / 四六判変形並製 / 169P
相反するすべての思いをこめて、H・P・ラヴクラフトに捧げる――「レッド・フックの恐怖」から90年後、アフリカ系アメリカ人作家ヴィクター・ラヴァルがラヴクラフトの世界を語り直す。
シャーリィ・ジャクスン賞、英国幻想文学大賞受賞!
1924年、ニューヨーク ハーレムに住むアフリカ系の若者トミー・テスターは、根強い社会的差別のなか自分なりに稼ぐ手段として、街角でギターの弾き語りをするふりをし、その実怪しげな仕事を引き受けている。ある日、ブルックリンにある墓地の前で歌うトミーのもとに、ロバート・サイダムと名乗る白人の老人が、自宅で開くパーティで演奏してくれたら高額な報酬を払うと声をかけてきた。サイダムの狙いは何なのか?……サイダムを捜査するトーマス・マロウン刑事と私立探偵ハワード、父親の死、霊を呼び出す歌、海原の底に眠る王、そして〈至上のアルファベット〉――魔術的な出来事がトミーの人生を大きく変える。