『キオスク』 ローベルト・ゼーターラー
はじめて出逢う世界のおはなし―オーストリア編
『キオスク』
ローベルト・ゼーターラー 著 / 酒寄進一 訳
東宣出版 / 四六判変形並製 / 275P
自然豊かな湖のほとりに母とふたりで暮らしていた少年フランツは、田舎を離れウィーンのキオスクで見習いとして働くことになった。はじめてのひとり暮らしと仕事、都会の喧噪に期待と不安を感じながらも、キオスクの店主から新聞、葉巻、お客のことなどを学んでいく。そんなある日、忘れ物を届けたことで常連客のジークムント・フロイト教授と懇意になり、フロイトから人生を楽しみ恋をするよう忠告される。さっそくおしゃれをしてプラーター遊園地にくりだしたフランツは、謎めいたボヘミアの女の子に出会い、すっかり心を奪われてしまう……。ナチスドイツに併合されていくオーストリアの様子と、そのなかで少年が思い、悩み、考え、行動する姿を、静謐に物語る。
ノスタルジックな空気感がたまらない青春小説。