『口のなかの小鳥たち』 サマンタ・シュウェブリン
はじめて出逢う世界のおはなし―アルゼンチン編
『口のなかの小鳥たち』
サマンタ・シュウェブリン 著 /松本健二 訳
東宣出版 / 四六判変形並製 / 241P
ボルヘス、ビオイ=カサーレス、コルタサル等のラプラタ幻想系譜の最先端!
スペイン語圏における新世代幻想文学の旗手による傑作短篇集。
「おまえは小鳥を食うのか、サラ」と私は言った。
「そうなの、パパ」
娘は恥ずかしそうに唇を嚙んで言った。
「パパもでしょ」
「おまえは生きた小鳥を食うのか、サラ」
「そうなの、パパ」——本文より
几帳面で整頓好きな普通の男の暮らしに突然入ってきたシルビア、そして小鳥を食べる娘サラ……。父娘2人の生活に戸惑う父親の行動心理を写しだした表題作「口のなかの小鳥たち」など、日常空間に見え隠れする幻想と現実を、硬質で簡素な文体で描く15篇。