『予言』鈴木ちはね
『予言』
鈴木ちはね / 書肆侃侃房 / A5判変形並製 / 160P
栞:大森静佳、染野太朗、永井祐、野口あや子、長嶋有
第二回笹井宏之賞大賞受賞!
【歌集より5首】
たいようが食べたいようと言いあえば遠くで夏が終わってしまう
ウォーリーをさがせ!を描いている人がウォーリーを描くタイミング いつ
堤防を上りつめたらでかい川が予言のように広がっていた
ザハ案のように水たまりの油膜 輝いていて見ていたくなる
品川の手前で起きてしばらくは夏の終わりの東京を見た
「アイロニーの強度、「平成」を象徴する固有名詞の出し方、パロディの力など総じて魅力的で、短歌連作の可能性を図太く押し広げている。その押し広げ方の、慎重さと大胆さにただならぬものを感じるのだ」(大森静佳)
「ラフなたたずまいを保ちつつ、その実言葉のすみずみにまで神経が行き届いた歌集だと思う。魅力が尽きない」(染野太朗)
「短歌というゲームの上手なプレイヤーという以上の、短歌と世界について自分の頭で考えられる作り手であることをわたしはとても貴重に思う。それができるというだけできっと、100点満点でいって300点なのだ」(永井祐)
「作者の手でピロンと日常が膨らみ、消え、反転する。言葉ができる言葉の一番ミニマムな魔法。その降りしきる様をただ楽しめばいい」(野口あや子)
「奥深くも浅くも様々なものをみせてくれそうで(安直な言葉だが)今後が楽しみだ」(長嶋有)