『砂の降る教室』石川美南
現代短歌クラシックス02
『砂の降る教室』
石川美南 / 書肆侃侃房 / 四六判変形並製 / 160P
第一回塚本邦雄賞(2020年)を受賞した著者の原点、
23歳のときに発売された『砂の降る教室』を17年ぶりに新装版として刊行します。
【歌集より】
カーテンのレースは冷えて弟がはぷすぶるぐ、とくしやみする秋
とてつもなく寂しき夜は聞こえくる もぐらたたきのもぐらのいびき
みるくみるくはやく大きくなりたくて銀河の隅で口を開けをり
想はれず想はずそばにゐる午後のやうに静かな鍵盤楽器
窓がみなこんなに暗くなつたのにエミールはまだ庭にゐるのよ
くすくすくすくすの木ゆれて青空を隠すくす楠の木ひとりきり