『異聞風土記』尹雄大
『異聞風土記』
尹雄大(ユン・ウンデ) 著 / 晶文社 / 四六判並製 / 216P
そこでしか語られない言葉があり、そこに吹き渡る風がある。
風土を記すとは、表に現れないところを感じることではないか。
――そんな想像を手掛かりに私が暮らした、歩いた土地について記してみたい。
(本文より)
高度成長期に生まれ、多感な時期にバブルとその崩壊を体験し、阪神大震災・東日本大震災という二つの巨大な天災をへて、いま未知のウイルスに浸食されている「私たち」。その姿をたった一人の視点と経験が浮かび上がらせる。
神戸・京都・大阪、東京を経由して、福岡・鹿児島、そして宮古島へ。すでに行き去りし人々の息遣いと熱をまとった「私の物語」から明らかになるもう一つの日本史。
過去の風景が未来を語る。流転の日々をその土地と人々の記憶から紡ぎ出す、<極私的日本史>