『韓国文学100年の物語』 きむふな

『韓国文学100年の物語』
きむふな / CUON / A5判上製 / 872P

韓国の詩人・作家たちが紡ぐ
〈抵抗と治癒〉の文学100年の軌跡

ハン・ガン(『菜食主義者』)、シン・ギョンスク(『オルガンのあった場所』)、
キム・ヨンス(『ワンダーボーイ』)、キム・エラン(『どきどき僕の人生』)など
韓国を代表する作家たちをいち早く紹介してきた翻訳家きむ ふなが
日本の読者に向けて書き下ろした韓国文学史

◇1900年代から今日まで、韓国の詩と小説を、社会の背景とともに詳細に紹介
◇100年の流れと時代ごとの特徴や代表作が、予備知識なしでも理解できる
韓国文学を知る入り口として、読み進める道しるべとして、必携の一冊。

同時代の日本からの視座として、本書責任編集 斎藤真理子によるコラムも掲載。

目次
はじめに

第一章 開化啓蒙期
 一九〇〇年前後から一九一〇年代まで
 開化啓蒙期の詩歌
 開化啓蒙期の小説

第二章 一九二〇年代
 三・一独立運動と一九二〇年代の文学
 一九二〇年代の詩
 一九二〇年代の小説

第三章 一九三〇年代
 近代文学の黄金期
 一九三〇年代の詩
 一九三〇年代の小説
  リアリズム小説/植民地朝鮮のモダニズム

|海を越えて、文学史を結んだ人々:北原白秋の二人の弟子・鄭芝溶と仲村渠

第四章 近代女性作家
 新女性と女性作家の登場
 第二世代の女性作家たち
 植民地末期の第三世代女性作家

第五章 一九三〇年代後半、そして解放
 文学の暗黒期
 暗黒期の詩
 暗黒期の小説

第六章 解放期の文学
 解放と分断
 解放期の詩
  社会主義系の詩人たち/純粋抒情の青鹿派詩人たち
 解放期の小説
  分断とイデオロギーの対立/過去への反省と自己批判/帰還小説/
  社会の混乱を描いた小説 
 
第七章 一九五〇年代
 朝鮮戦争と戦後文学
 一九五〇年代の詩
  戦争詩/モダニズム詩/伝統的な抒情詩
 一九五〇年代の小説
  戦時下での小説/身分戦争と風俗や価値観の変化/戦争の傷跡/失郷と郷愁/
  純文学小説

第八章 一九六〇年代
 四・一九革命と軍事クーデター
 一九六〇年代の詩
  四・一九と参与詩の詩人たち/純粋詩の詩人たち
 一九六〇年代の小説
  新しい分断小説/四・一九世代の感受性/女性作家の活躍

|海を越えて、文学史を結んだ人々:破格のベストセラー『ユンボギの日記』
 
第九章 一九七〇年代
 維新体制下の一九七〇年代
 一九七〇年代の詩
 一九七〇年代の小説
  産業化の陰に追いやられた民衆/分断小説/ベトナム戦争と韓国文学/
  女性作家たちの活躍/青年文化と大衆小説/内面と幻想の探究者

|海を越えて、文学史を結んだ人々:金石範と済州四・三事件と玄基榮
 
第十章 一九八〇年代
 光州民主化運動と新軍部政権
 一九八〇年代の詩
  八〇年代の民衆詩/前衛的な解体詩/女性詩人たちの活躍/
  抒情詩とミリオンセラー詩集たち
 一九八〇年代の小説
  光州の悲劇と暴力への考察/分断小説/大河小説のブーム/労働文学と民衆文学/
  閉ざされた社会における実験的な作品

第十一章 一九九〇年代
 冷戦終結後の韓国
 一九九〇年代の詩 
  民衆詩の変化/世紀末の生態詩/女性詩の拡大/新抒情詩の詩人たち
 一九九〇年代の小説
  後日談小説/小説家小説/一九九〇年代小説の活力、女性作家/
  新世代の新しい作家たち/一九九〇年代に描かれた光州/
  一九九〇年代の筆禍事件

|海を越えて、文学史を結んだ人々:茨木のり子の『韓国現代詩選』がもたらしたもの
  
第十二章 二〇〇〇年代
 新世紀の韓国文学
 二〇〇〇年代の詩
  実験詩あるいは未来派の詩/二〇〇〇年代の抒情詩/詩と政治
 二〇〇〇年代の小説
  男性作家による新自由主義社会のユーモア/
  女性作家の作品から見る二〇〇〇年代/二〇〇〇年代の歴史小説/
  分断小説の変化/新たな他者、移住外国人たち/韓国のクィア文学

第十三章 二〇一〇年代、今日の韓国文学
 今日の韓国と文学
 今日の詩
  未来派詩人たちの今日/詩と政治―セウォル号沈没事故以降の詩/
  失敗を強要する社会と悲しみの倫理/読者と同じ歩幅で歩く今日の詩
 今日の小説
  女性作家の作品が見つめる現在/フェミニズム小説のブーム/
  今日の分断小説/少子高齢化社会と小説/韓国のSF小説

|海を越えて、文学史を結んだ人々:韓国フェミニズム文学と日本


作品・批評書以外の主な参考文献
引用文献
人名索引

*コラム「海を越えて、文学史を結んだ人々」執筆:斎藤真理子

前書きなど
 執筆を終えて改めて感じるのは、韓国文学は「抵抗と治癒の文学」ではないだろうかということです。抵抗とは、固有の文化や精神、人間の尊厳や自由の価値を守ろうとする営みで、多くの作品にはそれらを守るために抗ったエネルギーが宿っています。これは韓国文学に限らず、すべての文学や芸術に通じる普遍的なものでもあります。しかし、激動の百年の中で生まれた韓国文学の多くには、その抵抗の体験がより具体的に刻まれています。世界の大きなうねりの中で迎えざるをえなかった近代化、植民地支配、南北分断と朝鮮戦争、革命、軍事独裁政権と民主化といった歴史が、作品の中にそのまま息づいているのです。
 ただ、ここでいう抵抗とは、信念を貫いた崇高な人々の記録という意味ではありません。むしろ、圧倒的な暴力や個人的な欲望の前に脆く崩れてしまう姿の方こそ、多く描かれているかもしれません。それは、自らの弱さや醜さに必死に向き合おうとした人々の軌跡でもあります。そうした姿をさらけ出しながらも諦めない気概は、いまを生きる私自身にも問いかけてくるように感じられます。そしてその姿勢は、この文学的な土壌で育った現代の作家たちにも確かに受け継がれています。韓国文学が世界中の読者を惹きつけているとすれば、このように社会の不条理や個人の傷に真摯に目を向けているからでしょう。
 理不尽な歴史や暴力的な社会の中でかき消された人々の声を蘇らせ、遅ればせながら追悼し、治癒しようとする動きは、今日の多くの作品に息づいています。治癒のためには、まず真実をきちんと知ること。そして、それを記憶し、語り続けることです。それは同じ過ちをくり返さないためであると同時に、歴史や社会だけでなく、傷ついた個人にとっての治癒にもつながるはずです。
――本書「はじめに」より

¥14,300 ($90.52)

International shipping available

再入荷のお知らせを希望する

年齢確認

再入荷されましたら、登録したメールアドレス宛にお知らせします。

メールアドレス

折返しのメールが受信できるように、ドメイン指定受信で「thebase.in」と「gmail.com」を許可するように設定してください。

再入荷のお知らせを希望する

再入荷のお知らせを受け付けました。

ご記入いただいたメールアドレス宛に確認メールをお送りしておりますので、ご確認ください。
メールが届いていない場合は、迷惑メールフォルダをご確認ください。
通知受信時に、メールサーバー容量がオーバーしているなどの理由で受信できない場合がございます。ご確認ください。

折返しのメールが受信できるように、ドメイン指定受信で「thebase.in」と「gmail.com」を許可するように設定してください。

通報する

ショップの評価