『わたしの知らない子どもたち』 西川美和
『わたしの知らない子どもたち』
西川美和 / palmbooks / 四六判並製 / 352P
私は、暗闇でものを見られる大人になれるでしょうか。
音楽家の父のもと、ピアノに親しんで育った私は、戦争ですべてを失い、
生きるために、自分を偽ることを選んだ――。
今秋10月16日公開予定となる新作映画の原案小説にして、映画では語りえなかったいくつもの物語が、情景が、心象が……「生きる」ことにどこまでも真摯なその姿が胸にのこって離れない、戦渦を生きたひとたちが奏でる圧倒的長篇。
「その子たちとの毎日は、汚い格好をして、悪いことばかりおぼえて、ひどい生活だったと思うけど、行くあてのなくなった私には、真っ暗な中に灯った小さなランプのような、あたたかい居場所でした。世の中のうつりかわりや、みるみる新しくなる世界の明るさが私たちから見ればしらじらしくて、誘われても、戻りたい場所とは思えなかったのです。」
ーー本文より


