『本棚の記憶 みなか先生の読書人生と「みなか食堂」の自炊爛漫』 三中信宏
本と人生2
『本棚の記憶 みなか先生の読書人生と「みなか食堂」の自炊爛漫』
三中信宏 / 灯光舎 / B6変形判上製 / 312P
「食べることと読むことは“根”はひとつである気がしてしかたがない。どちらもあるひとりの人間が経験してきた自分だけの“生まれ”と“育ち”の反映といえるからである」
(P.161 自分だけの読書空間を確保する より)
本を読むことも、料理をつくることも、「本の本」を書くことも、どれも楽しい。
「読書」と「自炊」というふたつのテーマを織り交ぜてつづる自伝的エッセイ。
忘れがたいあの味の記憶に誰かを思い出したり、ある人生の断片から一冊の本につながったり、「食と本」の記憶に付随するような思い出が立ちあがってくることはありませんか。
本書は、ただ時系列的に人生を振り返るのではなく、その「食の記憶」と「本の記憶」をてがかりにして、半生が紡がれるエッセイ集です。
「蒐集癖」を患った幼少期、たまごサンドからつながる母という最強の京女に震えあがった日々の追憶。学校にはほとんど通わず、孤独に生きた高校時代。東大駒場寮、谷根千の生活と自炊への開眼。古書店店主の「神業」を体感したあの日、難航した約6000冊の「蔵書じまい」プロジェクト。研究を生業にしながら、読書と自炊に明け暮れる著者の原風景を描きます。
「食」も「本」も「人」も、みな一期一会。まだ自分しか知らないその味やあの本、その「唯一性」に人生の価値がある。孤独耐性、「外れ値」としてのわたし。そして、自分の居場所となる「サードプレイス」という存在。刻まれた過去を振り返ることは、個人が何を想い生きてきたかを知ることでもある。
人それぞれの胸の内に眠っている「食と本の記憶の断片」を呼び起こしてくれそうな1冊です。
「あの本、この味、あのお店」から紡がれる日々の断片を収録した「本と人生」第2巻。
著者の45品の自炊料理レシピと料理イラスト(盛り付け設計図)を掲載!
目次
はじめに:ようおこしやしとくれやしたなあ
プロローグ〈上がりの出囃子〉 “文は人なり”、“食は人なり”
〈先付け〉 お座敷と高座
京都篇
1 伊勢湾台風のおぼろげな記憶
2 秋茱萸の滋味
3 深草の原っぱから伏見稲荷の山へ
4 おくどさんと天窓:「正調きつね丼」と「玉子丼」
5 剥製標本とコレクター癖の開眼
6 麦飯のあじない想い出:「土鍋玄米糅飯」
7 叩けば音が出るマリンバ
8 お豆さんあれこれ:「五目豆」と「黒豆」
9 童話と図鑑、テクストとパラテクスト
10 “味の素”は何処へ:「肉じゃが」と「皮付き新じゃがの山椒風味煮っころがし」
11 速記を学んだ日
12 かしわの天国:「鶏むね肉と大根の炊いたん」と「鶏手羽元の炊いたん」
13 稲藁ひとり遊び
14 ないもんねだり:「なま節の炊いたん」
15 “サードプレイス”を求めて(1):山遊びと川遊び
16 あほぼんとぼけなす:「茄子とはぐら瓜の煮びたし」と「秋茄子と万願寺の煮びたし」
17 鉄分いささか多くして、東奔西走南船北馬
18 日々の常備菜:「基本のポテトサラダ」と「夏野菜のラタトゥイユ」
19 “サードプレイス”を求めて(2):高校うらおもて
20 京女おそるべし:「コロナ風たまごサンド」
箸休め(1) 分類と系統
東京篇
1 乱世東大駒場寮:東京ひとり暮らしの始まり
2 鍋もともに育つ:「牛すね肉カレー」と「丸ごとキャベツカレー」
3 ここは“下宿館”か、はたまた“一刻館”か:千駄木ライフ(1)
4 フライパンで決まる:「ハンバーグ」と「スペイン風オムレツ」
5 元祖〈みなか食堂〉創業の頃:千駄木ライフ(2)
6 たくさんつくれ:「けんちん汁」
7 谷根千の細道へ:千駄木ライフ(3)
8 他人には言えない黒歴史:「(やや背徳の)ガーリックバター醤油ポークソテー丼」
9 本棚に記憶が刻まれている
10 厨房修行:「銀杏むき」から「銀杏ご飯」へ
11 一冊の本が一生ついて回る
12 食の記憶は揮発しない:「一斤カレーパン」
13 古書とのひそやかな対話
14 失われた麺を求めて:「はるばるてい香麺」への道のり
15 形あるものはいずれなくなる
16 美麗島の味はいかに:「魯肉飯」
17 図書館に根を生やす
18 寒い季節に:「アイリッシュ・シチュー」と「ソーダ・ブレッド」
19 自分だけの読書空間を確保する
20 寿ぐパーティー料理:「ローストビーフ」
箸休め(2) 生物学と哲学
つくば篇
1 ある“多体問題”の顛末、あるいは遠距離という宿命
2 “麺食い”への道は遠い:「花クレソンのパスタ」
3 ところかまわず「キャレル」と「クロチュール」を
4 暑ければ冷たくして:「桃とモッツァレラのパスタ」
5 パスタは千変万化する
6 軽食ではないパスタ:「ボローニャ風ラグー」
7 『イタリア料理大全』を読んで
8 逃亡先としての厨房:「丸干し大根めし」と「玄米栗ご飯」
9 行き詰まったときの飯の本あれこれ
10 寒い季節の定番:「牛肉の黒ビール煮込み」と「牛すね肉の菜の花ポトフ」
11 読者は一日にしてならず
12 冷たいスープの悦楽:「赤ビーツの冷製ポタージュ」
13 伝記読みの愉しみ
14 ぎゅうぎゅう詰めて:「マジャール風パプリカ肉詰め」と「白菜と豚バラ肉の土鍋蒸し」
15 日記は人生の襖の下張
16 温製スープで温まる:「蓮藕排骨湯」と「クレソンのポタージュ」
17 まとまりとしての蔵書のゆくえ
18 たまにはお魚もどうぞ:「土鍋鯛めし」
19 いつかは来る最後の“蔵書じまい”
20 〆が大切:「丸鶏ローストチキン」と「土鍋鶏雑炊」
食後酒 ことばづきあい
エピローグ〈下がりの受け囃子〉 去者日以疏、来者日已親
おわりに:おはようおかえりやす
料理索引
人名索引
事項索引
店名索引
文献


