『天才歌人、ラップ沼で溺れ死ぬ』 野口あや子

『天才歌人、ラップ沼で溺れ死ぬ』
野口あや子 / 小学館 / 四六判並製 / 288P

私は強い。私は自由だ。

10代で歌人としてデビューし、短歌の芥川賞と呼ばれる現代歌人協会賞を受賞。順風満帆に見えたキャリアの途上で、著者はパートナーから性被害に遭う。深い傷を抱えた著者に力を与えたのが魂の音楽表現、ラップだった。新たな言葉の武器を手に、30代半ばにして〈フィメールラッパー歌人〉という未踏の荒野へ踏み出していく。

【女のくせに歌人なのにと言うやつらバイブスぶち上げかましますわよ】

自由の風吹くHIPHOP界は、むき出しの言葉が飛び交うカオスでもある。地元・名古屋では、男性ラッパーとのフリースタイルラップバトルで連戦連敗。それでもマイクを握り、「私は何者か」を問い続けた。

時に停滞や逃避も。そこで足を向けたのはなぜか音楽の都ウィーン! 舞踏会で軽やかにステップを踏みながらふたたびラップを想う。回り道のすえ、自らの楽曲を手にした著者は、ラッパーデビューへと歩み出す。

ジャンルも国境も軽やかに越えていく、痛みとユーモアとビートに満ちた越境エッセイ。

【編集担当からのおすすめ情報】
各章には、ときどきの心境を詠んだ短歌と、むき出しの感情を刻んだラップのリリック(歌詞)を掲載しています。著者の感情が短歌とラップ、それぞれの表現でいかに紡ぎ出されるかを確かめられるのも本書の魅力です。

ところで一見、静かで慎み深い著者。スイッチが入った瞬間、別人になります。実際にラップバトルの現場でその姿を見守ったことがありますが、自らの魂の叫びを堂々と放っていました。

天才歌人からMC泥眠(著者のラッパー名)へ――その誕生を、全力で寿ぎたくなる一冊です。

**
本書は、アクセシビリティに配慮した本です。視覚障害・肢体不自由などの理由で必要とされる方に、本書のテキストデータを提供いたします。本書巻末よりお申し込みください。

目次
#1 ファッキンファッカー
#2 とりあえずride on してこのままgo on
#3 大好きなお母さんと愛しい彼女とビッチとギャルしか出てこねえ
#4 春はあけぼのシーシャようやく白くなりゆく
#5 MC 泥眼いざ勝負
#6 泥水をすすりながらシャンパンを飲む
#7 もう一度声で試させて私が何者なのか
#8 物書きなんてやめちまえ!
#9 私は強い。私は自由だ
#10 全部タイムロスになる前に
#11 夕方はシャウト、夜中はお経、練習千回
#12 ラップで人生変わりました
#13 歌人であり、ラッパーでもあることのもどかしさ
#14 ファイブセブン ファイブセブン アンドセブン
#15 汗も性も、もっと大切に、自分で洗い流せる

¥2,200

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