『となりのとらんす少女ちゃん』 とら少
『となりのとらんす少女ちゃん』
とら少 / 在野社 / A5判並製 / 192P
定価 1,650 円+税 1,815 円(税込
トランスジェンダー当事者が確かに刻む、現代の「トランスガール」の肖像。
新鋭・とら少、渾身のデビュー作!
SNS上でトランスジェンダーが登場する作品を数多く発表してきた作者・とら少。当事者だからこそ描けるリアリティと、人間の深部に肉薄する力強い筆致を特徴とし、セクシャルマイノリティ当事者を中心に共感の輪を広げてきた。
一時は漫画制作を断念しようとしていたものの、単行本化を熱望する声にこたえ活動を再開。出版にむけて実施されたクラウドファンディングでは開始初日に目標額を達成するなど、いま注目を集める漫画家のひとりである。
大きな反響を呼んだ3篇のリメイクに書き下ろし1篇を加え、満を持して商業デビュー!
これは、いつかきっとすれ違った、わたしたちのとなりに生きる「とらんすちゃん」の物語。
装丁:はちみつちひろ(小月デザイン)
印刷・製本:藤原印刷株式会社
【帯文】
虹色に光ることもなく、ピンクとブルーに別れることもない、トランスの生を一度は満たす灰色の感情がただよっている。
――高井ゆと里(倫理学者『トランスジェンダー入門』)
「わかりやすい物語」の先にある、現実のトランスジェンダーのリアリティに触れる、新鮮な経験。
――三木那由他(哲学者『言葉の展望台』)
【収録作品紹介】
・相川と園木は同じ学科の同級生。園木は相川に好意をもち、相川もそれに気づいているが、のらりくらりとかわす。実は相川には他の同級生には言えない秘密があって、園木の好意に応えることもできない。その夜、園木から飲み会に呼び出される相川だが--(「退廃的なとらんすちゃん」)
・男子中学生・りょうとには友人を家に呼べない理由がある。弟・あゆむが「オカマ」だからだ。そのおかげで友人にからかわれ、気苦労が絶えない毎日を送る。ある日りょうとは、発表課題を仕上げるために、片思いしている美羽を家に招くことになって--(「弟はとらんすちゃん」)
・ある日、サッカー少年・ユウタの家を訪ねる若い女性。ユウカと名乗る彼女は「性別移行した未来のユウタ自身」だという。男性として成長するまえに早く性別移行を始めろと迫る”未来の自分”に、「オレは女になんかならない」と譲らないユウタだが--(「未来から来たとらんすちゃん」)
・クラス委員長のショウタは、みんなの期待どおりに生きる「優等生」。自分とは真逆で、男らしくできない副委員長のヨシくんに苛立ちを隠せない。「なんでぼくはこんなにムカつくんだ」。自問するショウタの心の奥底にあるのは、いまだ消せない幼馴染の美咲とのわだかまりだったーー(「似つかわしいとらんすちゃん」)