『誰でもない』 ファン・ジョンウン
『誰でもない』
ファン・ジョンウン 著 / 斎藤真理子 訳
河出書房新社 / 文庫判並製 / 256P
それが必要だった。すべてのものが消えてゆくこのときに。
暗闇を水平線で分ける明かりのようなものが――
恋人をなくした老婦人や非正規労働で未来に希望を見出だせない若者など、“今”をかろうじて生きる人々の切なく、まがまがしいまでの日常を、圧倒的な筆致で描いた8つの物語。
日常がディストピアとなった現代を生きる人々の代えがたき瞬間を、見事なリリシズムとユーモアで描き出す。韓国文学の「顔」である作家による、数々の文学賞に輝いた作品を収録した、代表的短編集。